2019年以降の新興国株式の見通しを解説!投資時期はまさに今?

私は新興国株式を主な投資対象としていますが、その理由は高い経済成長に伴って株式市場も上昇していくのが摂理であるはずだからです。

今回は今までの新興国株式市場の状況を整理した上で、今後の新興国の株式市場の先行きについて考察していきたいと思います。

2016年中盤まで不調が続いた新興国株式

皆さん記憶に新しい2014年の中国経済の減速懸念に端を発した資源価格の下落に影響され、リーマンショックから一早く立ち直った新興国経済は2010年の7%台の成長率から4%台の成長率に落ち込みました。

発端となった中国経済の失速ですがリーマンショックから立ち直る為に打った60兆円規模の財政出動によって、過剰生産能力、過剰債務が重しとなり経済に減速感が出てきたことが要因となっています。

また先進国の動向にも新興国経済は強く影響を受けます。

特に先進国の金利水準と新興国への資金の流入の間には強い関係があり、先進国の金利が上昇すれば先進国の資金が自国に還流し、日本のように超低金利が持続すれば高いリターンを求めて新興国への資金が流入する結果を招きます。

米国での金融緩和が終息に向かい2013年に量的緩和を終了したことに伴い、米国の利上げ観測が出てきたことも新興国の不調の要因となっておりました。

実際に米国の政策金利が本格的に上昇したのは2017年からでしたが、金融市場では先取りして利上げを織り込みにかかるので中央銀行が匂わせ始めた2013年後半から米国への資金還流が始ったのです。

その為、2012年から2016年までの期間では新興国が成長率が一貫して高いにも関わらず、先進国株式が50%上昇する一方、新興国株式は2%の下落となってしまいました。

この間、リーマンショックの震源地でありながら一早く経済を立て直した米国株とアベノミクスにより活況に沸いた日本株が非常に堅調な時期となっていました。

出遅れを取り戻し始めた2017年 ーチャートで確認する新興国株式の復調ー

低迷していた新興国市場でしたが中国経済の景気モメンタムが2015年に実施された金融緩和や住宅ローン頭金規制の緩和、企業減税、大型インフラプロジェクトの推進という政府の必死の政策で上向き始めました。

中国政府としても昨年実施された第19期共産党全国代表や2010年に習近平国家主席が国民所得倍増計画を発表したこともり、6.5%以上の成長率は死守していくと見込まれています。(それが延命処置であったとしても、、)

更に予想されたよりも漸進的な米国の利上げのペースとまだ出口を明言できない欧州や出口が見えない日銀の金融緩和によって、先進国でお金がじゃぶじゃぶに余っていることから、高いリターンが見込まれる新興国市場に資金が流入し始めたのです。

上記は新興国のG4即ち、米中央銀行FRB、欧州中央銀行ECB、日銀BoJ、英国中央銀行BoEのバランスシートの拡大の過程と今後の見通しです。バランスシートというのは中央銀行の通貨供給量とほぼほぼ読み替えることができます。

つまり先進国は中央銀行から大量の通貨が共有される金あまりの状況となっており、先進国内で行き場を失ったマネーが新興国に流入した結果、以下のように2017年に新興国株式がキャッチアップを始めました。

 

新興国株式と先進国株式の5年チャート
(引用:JP Morgan)

今後の新興国株式市場の見通し ーポジティブな側面ー

それでは今後の新興国株式市場の見通しについて様々な側面から切っていこうと思います。

堅調な成長が予想される新興国経済-増加する人口-

当然のことながら鶏たまごではありますが経済が成長すれば、株式市場もそれに伴って上昇していきます。

今後も一貫して新興国の成長率は先進国を上回り続けます。

経済成長率の推移
(引用:IMFデータを元に管理人が作成)

今後も新興国の経済成長率は高水準を維持するのに対して、先進国は人口減少を伴い成長が減速するので成長の格差は拡大していくのが確定的となっています。

新興国の人口は若年層が末広がりとなっており、今後生産人口(15歳~60歳)が増加することによって経済成長が加速していくことが予想されます。

現在既に全世界の90%近くを占める新興国の人口は、今後更に比率を拡大させながら上昇していくのです。

先進国・新興国の人口ピラミッド

(引用:JP Morgan)

更に消費が急速に拡大する1人あたりGDPが5,000USDを超える中間層以上の割合の急拡大も予想されています。

中間層では家電の購入や自動車などの需要が急拡大する水準である為、消費需要の急拡大を伴い経済成長が加速していくのです。

拡大する新興国の中間層人口
(引用:経済産業省)

 

企業利益(EPS)の復調

ひふみ投信の藤野英人氏も名言している通り株価というのは概ね企業の利益に連動する傾向があります。

当然稼いでいる企業の株価は上昇しますよね。

実際以下の新興国株のEPSと実際の株価の連動をご覧下さい。EPSというのは一株当たり利益のことで、EPSと株価は完全一致とまではいきませんが、概ね連動しております。

新興国EPSの推移
(引用:野村証券)

EPSは2016年を底として回復の兆しを見せており、今後の予想利益を元に算出される予想EPSは増加傾向にあることから、株価も上昇モメンタムとなることが予想されます。

回復する新興国の経済センチメント

景気のセンチメントはGDP成長率よりも先の経済の雲行きを占うのに重要な指標です。

以下100を上回れば景気が上向きに100を下回れば景気が下向きとなるよう設計されているOECD景気先行指数をご覧ください。

 

新興国のOECD景気先行指数の推移
(引用:三井住友トラスト)

 

OECD(経済協力開発機構)が、主要国の経済指標に基づき作成する指数。世界景気の転換点を探る指標として、国内総生産(GDP)などより6カ月程度先行するよう設計されている。

(引用:東海東海証券)

図からブラジル、インドネシア、中国は100を超えておりますし、依然100を下回っている南アフリカ、インドも底打ちして復調してきているのが分かります。

依然として割安な新興国株式市場

2018年現時点でGDP規模は40%をしめ、2023年時点では45%に上昇することが見込まれています。

先進国と新興国の経済規模の推移
(引用:IMF Data Baseより筆者作成)

 

2000年から急拡大している新興国の経済規模に比して、現時点(2018年8月)では株式市場では全体の22%を占めるに留まっています。

(引用:World Federation of Exchange)

新興国の株式市場も40%以上が中国となっており、BRICS以外の株式市場は経済規模に対して割安な水準となっていることが分かります。

因みに中国は新興国の経済規模の30%を占めるにとどまっているので、株式市場の占める割合の方が大きいのです。

一般的な傾向として、1人あたりGDPが低い国では国民が株式を購入する余裕がなく株式市場が開設されていない又は上場企業数が少ないという傾向があることが影響していると思われます。

日本でもあまり1960年代の段階で株式投資を行っていた人はいませんでしたえよね。現在ですら先進国の中では低水準ではありますが、、

今後経済が成長することにより日本の1970年~80年代のように株式市場が急拡大する局面の国が新興国が多く存在していることの裏返しでもあるのです。

今後の新興国株式市場の見通し ーリスクを把握ー

今までは新興国株式を見通す上でポジティブな側面を見てきましたが、これからは新興国株式市場に対して重しとなりうるリスクについて整理していきたいと思います。

リスク①:米国の拙速な利上げ

最初の方で先進国の金利と新興国への資金の流入については相関があることを申し上げました。

2013年に米国が量的緩和を終了し、利上げの準備段階に入ったことが米国への資金還流を喚起して米国一人勝ちともいえる3年間を築きました。米国の資産を運用して高い金利を得られるなら、わざわざ高いリターンを求めて新興国に乗り出す必要はないですからね。

しかし、なかなか米国を始めた先進国でインフレが加速せず米国では利上げを予想よりも緩やかなペースで、日欧では緩和の出口を見つけることが出来ず、市場で余ったお金を新興国に流しこむことで新興国市場が2017年から回復を始めました。

しかし、2018年に入って米国のインフレが加速する懸念が高まってきました。2018年の2月の雇用統計で給与が急騰したことが確認され、拙速な利上げ懸念から株式市場が世界同時安になり日経平均も10%程下落したのは記憶に新しいかと思います。

直近も米国のインフレ率は中央銀行FRBが目標とする2%の水準を上回っており、2%を超え景気が過熱気味の状況が続くのであれば利上げペースが早まり、相対的に新興国市場から資金が引き上げられる可能性が出てきます。

 目標が達成されたことで、ジェローム・パウエル議長による発言は一段と重要性を増している。パウエル氏は今月半ば、FRBが利上げを決定した後の記者会見で、インフレが2%の水準を「持続的に上回って推移するようであれば」抑制策に動くと述べ、FRBは景気が過熱気味になるのを許容するであろうとの観測を実質的に打ち消した。

<中略>

FRBは現在、年内2回と来年3回の追加利上げを見込んでいる。これは、FRB自らの判断基準に従えば、2019年末までは引き締め策にならないことを意味する。FRBが利上げを加速する必要があるとすれば、市場は意表を突かれることになるだろう。

(引用:2018年6月30日 Wall Street Journal)

更に金利が引き上げられれば米国景気が抑制され、米国との取引の割合が大きい中国を始めとした国々の実態経済にも影響が出ることは見逃すことはできません。


(引用:日興証券)

現時点での予想が具現化すると、2019年末の時点で政策金利は3.0%~3.25%となり米国10年債金利は4.0%を超えてきそうですね。新興国市場には重しとなる可能性がります。

リスク②:中国のハードランディング

2014年からの新興国の失速は中国の過剰生産能力・過剰債務・過剰労働力が顕在化したことに端を発しますが、依然として本質的に解決されていません。

特に問題なのは非金融企業の債務がGDPの200%を超える水準であるということです。政府の債務は少ないですが、国営企業を始めとした企業の債務が増大しているのです。

各国の非金融機関の債務比率

(引用:各国の金融債務)

既に日本のバブル崩壊時の水準に達しています。

通常の資本主義経済であれば、確実に経済が崩壊するような水準でも共産党の統制経済の中で、なんとかソフトランディングに持っていこうとしている状況です。

個人的にはいつか中国経済はあるべき水準への是正が為されるとみていますが、2020年の2010年比所得倍増目標までは巡航速度を何としても保つものと思われる為、当面は大きなリスク要因にはならないと見ています。

ただ新興国株式に投資を行う場合は、中国又は中国に大きく依存をしている経済を持っている国への投資は控えたほうがよいといえるでしょう。

総括とおすすめの投資法

新興国株式は2014年~2016年の冬の時期を終え、2017年から復調の兆しが見えてきています。

経済成長率は引き続き上向き先進国との差は拡大する一方で、新興国が世界経済の主役になる時代はすぐそこまで近づいてきています。

一方、経済規模に比して株式市場は依然として割安に保たれている状態であり、これが再評価されることにより大きく株価が上昇していくことになるでしょう。

リスクとしては米国の利上げの拙速化や中国経済の瓦解が挙げられますが、経済規模の拡大に伴って当然株式市場も上昇していく為、長期的にみれば新興国株式の上昇はまず間違いないものとみてよいと思います。

このように新興国株式には大きなチャンスが眠っていますが、一方で、むやみやたらに新興国株を買い漁れば良いというわけではありません。

国としての成長が間違いないとしても、株式市場に既に外資が流れ込んでいるような国では、株価の伸びが限定的になってしまう可能性もあります。

どの国に大して、どのような方法で投資を行っていくかをよく考える必要があるのです。(例えば私はヘッジファンドを経由して特定の新興国株を保有する戦略をとっています。)

これから海外株で大きく収益をあげたい方へ向け、2018年から2019年にかけてどのような投資をしていくべきか、以下(↓)のランキングに纏めました。

興味のある方は、一度ご覧頂ければと思います。それでは。

[2018年・最新の個人投資家向けおすすめ投資先ランキング]

海外アセットマネジメント会社出身者の独自の視点で2018年時点のおすすめの投資先ランキングを作成しています。

老後に向けての資産構築を考えている方は特に参考にしていただければと思います。

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