今まで株式市場を中心として様々な新興国のファンダメンタル、為替、株式市場を分析してきました。
分析を通じて、どのような新興国に投資を行うのが最も効果的なのかという点が見えてきましたので、
本日は新興国株式へのおすすめの投資法と題して今までの集大成としてまとめていきたいと思います。
目次
新興国は成長力と割安度に応じて四つに分類することが出来る
今まで新興国を分析する過程で、既にある程度まで成長が終了し人口増加も限定的となっている先発新興国や、
今ないし今後、人口ボーナスを伴って爆発的に経済成長が促進される後発新興国の二つがあることが分かりました。
更に、各々のカテゴリーでも株式市場が既に割高となっている国や、
一時的な理由により割安になっている国が存在していることも見えてきました。
図にすると以下の通りです。

新興国は日本の高度経済成長期と同様に1人あたりGDPが1000USDを超えたあたりから成長が加速しますが、
1人あたりGDPが10,000USDを超えたあたりから停滞するという特徴があります。
数学でいうところのログ関数のような成長曲線を辿るのです。
日本でも1980年代まで勢いよく成長しましたが、そこからはほぼほぼ成長していないという状況になっています。
それでは各セグメント毎に詳しくどのような国があるのかを見ていきましょう。
割高で成長力が低い新興国①
まずは魅力が最も低い割高で尚且つ成長力が低い新興国です。
基本的には成長力が小さいので魅力がすくなく、あまり資金も流入してきていないので、
極端に割高な市場はありませんが、日本よりも割高な市場は多く存在しています。
東アジアでは台湾、BRICSでは中国・ブラジル、ASEANではマレーシア・シンガポールが該当します。
⇒成長鈍化の台湾株式市場への投資は妙味があるのか?限られた投資環境も懸念点
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既に先進国と近しい水準で尚且つ、慣れ親しんでいない銘柄に投資を行い更に為替手数料まで取られることを考えると、
敢えて新興国株投資を行う必要性はありませんね。
割安で成長力が低い新興国②
先程よりは投資する魅力が少しは上がる、割安だけれども成長力が低い新興国です。

既にある程度成長はしているが、停滞している国の中には政治的・地政学的・その他の要因によって、
国内経済が低迷している国が存在しています。
しかし、センチメントが悪い不透明感が強いという理由で実態の経済の実力以上に売り込まれており、
通常では考えられないレベルで割安に放置されている国がありますので、短期的には適正水準まで再評価されることで、
再評価する過程での株価上昇益を狙うことが出来ます。
例としてはエネルギー価格急落の影響を引きずっているロシアが代表例として挙げられます。
韓国もある程度割安ですが、今後の成長見通しが立たないことを考えるとロシアに比べると、
投資妙味は低いと言えるでしょう。
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割高で成長力が高い新興国③
いままでは成長力が既に低い先発新興国にフォーカスを当ててみていきましたが、次は今まさに又は今後成長が加速していくことが確実で、
確実故に海外からの資本も大量に入ってきており結果的に期待先行の割高になってしまっている新興国です。

一般的に魅力的だと考えられている新興国には③の分類に含まれている新興国が多いです。
例を挙げるのであれば、インド、インドネシア、フィリピン、ベトナムのような誰の目から見ても、
明らかに成長力が高く、尚且つ外国人からの投資の受け入れ態勢が整っている国が該当します。
⇒魅力的なインド株式市場は成長を織り込み株価は割高で現段階での投資はおすすめできない?今後の見通しと共に徹底解説。
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⇒ベトナムの株式市場への投資はおすすめできない!見通しのよい経済と規制緩和で既に株価はバブル気味。
百貨店やスーパーでも誰にでもわかる魅力的な商品は即売れるので価格が上がっていくのと同じで、
株式市場も市場原理が当然働きますので、どう見ても今後成長する見込みが高く、
尚且つ投資が可能であれば誰でも購入しますよね。
結果として実態以上の価格が付いている場合が多く、今から参入しても長期的にみたら利益が見込めるかもしれませんが、
期待先行の分、仮にその国の地政学リスクや政治的な問題が発生した場合は大きく売り込まれるので、
大きな損失を一時的に抱えることとなる可能性については十分留意し、投資をする際には長期目線で考えたほうが良いでしょう。
コラム:成長力が高いが株式市場自体が未熟で投資が困難な国
成長力が高く割安な国の説明に映る前に、Coffee Breakとして成長力が高いにも関わらず、
株式市場が開設されてまもなく上場企業数も1桁で外国人が投資できる環境が整っていない国について、
紹介していきたいと思います。
ASEANの中でもベトナムと同程度の経済水準である、カンボジアやミャンマーは、
日系企業も今後注目するASEANの今後の成長を担うCLMV諸国の一角として注目されています。
⇒CLMV諸国の一角・東南アジア最後のフロンティアへの株式投資。ミャンマーの経済と財政をファンダメンタル分析する
⇒健全な財政を維持する今後期待のカンボジアの経済成長。株式投資に向けた政治経済・財政のファンダメンタル分析を実施しました。
しかしカンボジアの証券取引所は2014年に開設され2018年の後半時点においても上場企業数は3社、
ミャンマーのヤンゴン証券取引所も大和証券の援助で2014年に開設され2018年の後半辞典で上場企業数は5社になっています。
株式取引を行うにしても現地にいって現地の証券会社で口座を開設する必要があり、
非常にハードルの高い投資先となっています。
また、このようの黎明期の株式市場では国内で株式の分析を行えるアナリストもおらず、
株価が理論でははかれない乱高下の動きをすることがありますので、
投資先として検討するには早期すぎるというステージの国という状態となっているのです。
割安で成長力が高い新興国④
割安で成長力が高い分類④にカテゴライズされる新興国は最も魅力が高い新興国の分類になります。
成長力が高いにも関わらず先程の③のカテゴリーのように割高になっていないということは、
- 何かしらの一時的な株式市場が売り込まれるニュースがもたらされている
- 先進国の投資家に対して門戸があまり開かれていない
という理由のどちらか一方または両方を抱えている可能性があります。
しかし、両者ともいずれは解決する問題であり、今後本来の潜在成長可能性が正しく認識される事態となれば、
株式再評価益と経済成長による企業利益続伸による値上がりの一石二鳥を取ることが出来ます。
例としては現在トランプの暴挙とも言える制裁が課されているイランや過去制裁が科されていたパキスタンが挙げられます。
イランはそもそも米国とは1990年代から取引がなく、昨今日本や欧州との取引は認める旨の声明分がだされたこともり、
実態経済に起こる本質的な影響は少なく、市場が冷静さを取り戻すだけで現在のPERが4倍~7倍という異常な水準が、
再評価され大きな利益を獲得することが出来るようになると見込んでいます。
ただ先程もお伝えした通り、個人での投資は難しくイランに対して投資を行っているファンドを通じて投資を行う必要があります。
私も投資を行っているフロンティアキャピタルはカテゴリー④に属する国の厳選銘柄に投資を行っておりますので、
興味のある方は参考にしてみて下さい。
↓Frontire Capital解説ページ↓
年率66%利回り?最先端・新興国株投資ファンド『フロンティア・キャピタル』
2019年からおすすめの新興国株式投資まとめ
新興国は成長の度合いと株式市場のバリュエーションの観点から四つに分けられます。
カテゴリー①: | 成長力低且つ割高 | ⇒ 投資妙味は全くない |
カテゴリー②: | 成長力低且つ割安 | ⇒ 短中期的な再評価に期待 |
カテゴリー③: | 成長力高且つ割高 | ⇒ 投資をするのは長期目線 |
カテゴリー④: | 成長力高且つ割安 | ⇒ 最も魅力的で新興国投資の醍醐味 |
カテゴリー④に分類される国への投資をプロに任せて行いたいという方は以下管理人がまとめている、投資先ランキングを参考にしてみてください。
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