「カンボジア」といえば世界遺産ですよね。
アンコールワットに行ったことがある人も多いのではないでしょうか。
ASEAN諸国は今後も経済成長が見込まれると言われておりますが、
カンボジア株式投資で大きなリターンを得るにもまだ間に合うのでしょうか?
この記事ではカンボジア株式投資を実行するにあたり、
まず手をつけるべきファンダメンタル分析をしていきたいと思います。
結論から申し上げて申し訳ないんですが、
カンボジアはそもそも株式市場がオープンして間も無く、
カンボジア現地で「銀行口座」と「証券口座」を作成する必要があり、
お手軽な投資とは言えません。
株価が適正評価されず、手間などを考えると、投資はまだまだ考えない方が良いでしょう。
しかし、今後株式市場が整備されるタイミングに向けて、カンボジア経済を把握しておくことは有益かと思います。
目次
カンボジアの政治と財政
カンボジアの政治で避けられない話題がポル・ポト大虐殺です。
カンボジアのポルポト政権下ではなんと200万ほどの「自国民」の大虐殺が行われました。
当時700万人ほどの人口だったカンボジアでしたから、
約30%以上を、しかも医者などの知的産業で働く国民を優先的に虐殺していきました。
これは歴史上稀に見るポルポト政権の恐怖政治が世界を震撼とさせました。
この恐怖政治を実行していたポル・ポト政権の幹部は、
文化大革命時の中国の思想から影響を受けたと言われています。
自国民を虐殺するというのは本当におぞましいですよね。
このポルポト政権時代の虐殺によって、多くの優秀な人材が殺害されたことが、
カンボジアが長年経済停滞していた原因となっているのです。
政治は本当に国の経済に大きく影響しますね。(プラットフォーマーなので当たり前ではありますが)
カンボジアの財政の話に入っていきます。
カンボジアの財政は、新興国にしては珍しく「健全」に行われているのが特徴です。
カンボジアの財政支出の約25%が外国からの無償資金援助等で構成されており、
他国に依存する傾向がありこの点はリスクと言えます。
しかし、自国の発展のため、カンボジア政府は政府関与(経済活動など)をできるだけ実施せず、
民間独自で政府に頼らない政策を積極的に取っています。
これは大きな政府になることを避け、財政赤字が拡大しないように実施している施策となります。
例えば、内戦終結後の経済復興局面において、カンボジア政府は、電力セクターの整備を、基本的に民間部 門に任せてきた。
そのため、カンボジアは、電力事業を国営企業が手掛けてきた隣国ベトナムのように大型発電 所建設のための円借款支援要請を行ったことがない。
このように「政府がやたらに借金をしない」ことも、カン ボジアの公的債務残高が少ない理由である。
以下表のカンボジアの「公的債務残高」のGDP比率を見ると、CLMV諸国の中で最も低い部類なのです。
CLMVとは
CLMV 諸国とは、Cambodia、Laos、Myanmar、Vietnam の頭文字をとってつけられた、ASEAN の中で比較的経済開発の遅れた諸国の総称です。
続いて過去のカンボジアの経済成長から、今後の経済成長の可能性を読み解いていきます。
カンボジア経済の現状、GDP成長率の推移を把握しよう
カンボジアの経済成長率を見ていきましょう。
以下はGDP総額と成長率の推移です。
カンボジアは2005年にはなんと経済成長率13%を記録しています。
しかし、過去からのボラティリティが凄まじいことになっていますね。
リーマンショックがあった2008〜2009年時期には経済成長は直下し、
1%を切る成長率となってしまいました。
世界経済危機への耐性の低さがよくわかりますね。
しかしそれ以降は2011年から2016年は7%成長を続け、
2017年以降は6%成長と落ち着いています。
カンボジアの一人当たりGDPもまだ1300USD程度と、
中所得国の罠である一人当たりGDP10,000USDまでも遠く、
労働集約型から技術集約型に転換する壁までも時間があるので、
この先10年程度はまだまだ経済成長の余地があると言えるでしょう。
カンボジアといえば不動産市場も注目されていますが、
実際に株式投資をするべき国と言える投資対象なのでしょうか?
長期的にカンボジア経済が成長していく可能性について、次に人口に注目していきたいと思います。
カンボジアの人口は今後も増加する?人口推移、人口ピラミッドを考察
経済の動向を予測するに当たって、最も重要なのは「人口」です。
人口が増えなければ内需は拡大せず、消費活動、労働活動が活発化せず、
経済は落ち込んでしまいます。
現在の日本がそうですよね。
以下のように、人口は下降しています。
さて、本題のカンボジアの人口推移を見ていきましょう。
人口は右肩上がりで増加していることがわかります。
しかしやはり人口規模が1600万人程度なので、
今後爆発的に成長するのかといえばあまり期待できる感じがしません。
経済成長率も小規模で母数が小さいからこそ、成長率も高いと言える点が否めません。
しかし、このカンボジアの人口は、今後どのくらい伸びていくのでしょうか?
まず、今後の経済発展を分析するにあたり重要な指標であるカンボジアの人口を見ていきましょう。
カンボジアの人口ピラミッドは理想的な形とはいえませんが、
高齢層が少なく、若年層のボリュームゾーンが大きく期待が持てそうです。
今後も人口増加が見込める20~24歳、30~34歳にも人口が集まっていますね。
しばらくは安定的に人件費の安さを売りにした労働集約型で、
中国などからシフトされてくる製造業で経済は着実に成長してくるものと思います。
カンボジアのGDPを支えているのは?
さて、カンボジアのGDPを現在支えているのはどの産業なのでしょうか?
実際に見ていきましょう。
カンボジアはまだまだ農業の比率が24.7%と高いですね。
国の発展経路として、農林水産業→製造業→技術産業、サービスという順序で国は成長していきますが、
カンボジアはまだ1stフェーズにいるということです。
人の移動も農村部から都市へ移っていきます。
カンボジアで14.2パーセントとなっている商業、飲食、宿泊はアンコールワット遺跡などの、
観光需要からきているのは明白ですね。
経済規模の小さい国では、観光収入が支えになっていることが多いです。
例えば、南米のボリビアなどは世界中の観光客が高いお金を払ってウユニ塩湖へきます。
ウユニ塩湖で産業が支えられている国といえますが、一本足打法でなかなか産業シフトが思いの外進まず、
ウユニ塩湖がなくなれば国がさらに貧しくなるという構造であり投資をするには危険な状況です。
しかしカンボジアの場合は、地理的にも東南アジアに位置しており、
政府の財政の舵取りも健全なので、今後の成長も見込まれるのです。
カンボジアの輸出入先・他国に依存性はあるのか?
貿易相手が例えば中国などに依存してしまっていると、
中国の経済減速が進めばそのぶん煽りを受け、カンボジア経済の低迷にも拍車がかかってしまいます。
→ 中国経済の実態は崩壊寸前??2018年からの中国の成長可能性について徹底分析
まずは、輸出入産品をみてみましょう。
(1)輸出衣類(50.3%)、印刷物(37%)、履き物(3.9%)、穀物(2.1%)、ゴム(1.3%)
(2)輸入織物(35%)、機械(9%)、電気機器(5%) 、石油製品(4%)、車輌(4%)
引用:外務省
輸出は衣類が圧倒的に多いですね。
衣類原料を輸入し、他国に最終製品を輸出しているのでしょう。
まだまだ機械類の製造業が活発ではなく、
今後は増加が見込まれるはずですので、貿易はさらに活発化されるでしょう。
しばらくは衣類の貿易が中心となっても、衣食住の衣を取り扱っていることから、
急激な貿易量減少は起きないと言えるでしょう。
では、肝心のカンボジアの貿易相手を見ていきたいと思います。
8 主要貿易相手国(2015年、IMF[Direction of Trade Statistics])
(1)輸出
米国 (23%)、英国(9%)、ドイツ (8%)、日本 (7%)、カナダ(7%)
(2)輸入
タイ(28%)、中国(22%)、ベトナム(16%)、香港(6%)、シンガポール (6%)[日本 (2%)(第10位)
引用:外務省
輸出に関してはなんと先進国である米国、英国、ドイツ、日本と続きます。
非常に安心感が持てますね。
輸入はタイ、中国、ベトナムとなっており、
少しタイに依存しているところが心配なところです。
タイも中国との貿易取引が非常に多く、
中国経済の減速により大きく煽りを受けることになりますので、
やはりカンボジア経済を見通す上では中国は注視しておくべき対象といえますね。
この記事のまとめ
ここまでカンボジア経済のファンダメンタルな部分を分析してきました。
冒頭で述べましたが、カンボジア株式市場はまだまだオープンしたばかりですので、
株式投資を考える人は他の市場を積極的に狙っていくことをおすすめします。
以上、健全な財政を維持する今後期待のカンボジアの経済成長・株式投資に向けた政治経済・財政のファンダメンタル分析を実施しました。…の話題でした。
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